30 August 性とファンタジーと自然科学 娘の学校では、今学期ずっと生物をテーマにプロジェクトをすすめて来ていたのだけど、(娘の学校はプロジェクト型という教授法を採用していて、1か月とか2か月とか、そのクラスの子供達が興味を持つことのなかかからテーマを採用してそれについて色々なアクティビティを通じて学ぶというスタイル)そのために、保護者の一人が勤めている大学の生物の研究室に遠足に行ったりとか、アルテの時間には動物の絵をかいたりとか、子供はチリの野生動物についての発表をさせられたりとか。で、ちょっと前くらいからうちの娘が、私に蜂について色々質問してきた時期があり。蜂は花から蜜を貰いながら、受粉を手伝っているんだよ、ということを話し、花にはオシベとメシベがあるんだよ、受粉しないと実がならないし、種もできないから大変なんだよ、というそういうことを話していたところ「じゃあ人間はどうやって受粉するの?」という質問が。 ちなみに、娘はナショナルジオグラフィックチャンネルの、ドクトル・ポールというアメリカの田舎に住むスーパー獣医のリアリティ番組シリーズをこよなく愛していた時期があり、動物の出産シーンを毎週のように見ていて、獣医になりたいと言っていたほどなので、人間もどこから生まれてくるか、っていうのは既に知っており。当然お腹の中にいるときにヘソのオでくっついていて、栄養を貰っていて、とかそういうことも話していて。その流れで彼女本人は、普通に降りてこなかったので「ちーさんはお腹の中が気持ちよすぎて出てこなかったから、30時間以上も頑張ったけど結局お腹を切って出したんだよ」というような話も彼女のお気に入りのお話で。そういう流れで、彼女から、そういった質問があったので、「バヒナとペネをくっつけるとできるんだよ」と回答したところ、「へー変なの」という返答が帰ってき。それと一緒に、だからバヒナとペネはとっても大事だからその辺で人に見せたりしちゃいけないんだよ、とか、汚い手で触っちゃダメだよ、とかそういう話もし。6歳で、一応幼稚園児(日本だと小1の学齢)にどこまで回答したものか、その時一瞬はやっぱり考えた気がやっぱりするんだけど、でもそれ以外に答えはないし、今さらコウノトリが連れてくるとか、キャベツ畑で見つけたとかはさすがに無理だし、ヘタにごまかしても良くないと思ったし、それと、やっぱりアブソセクスアル(性的いたずら的な犯罪)についても、残念ながらたまに噂で伝え聞いたりとか、ニュースになっていたりするので、やっぱり日本よりはチリの方がそういう危険もある気がしているので、人に見せたりしてはいけない大事な部分だという認識を持たせることはそういう犯罪に近寄らせないように、彼女を守るために大切なことだと私は考えていて。その時はそれで話は終わったのだけど。でもその後別の日に、友達からある秘密をうちあけられたのだけど、大変なことだからママに言いたいんだけど、秘密にしておいてくれる?となんだかややこしいんだけど、その話を聞いてみたところ「アルマが(同じ年の別の学校の友達)、学校の男の子とペネとバヒナの見せあいっこをしたんだって!!!絶対に内緒って言われたけど、大変でしょ!!ママ!!!」と、本当に真剣な顔で密告してきたので、彼女なりにそういうことをしたらダメなんだということは胸に刻まれたらしく。結局その時は、アルマのママに、そういうことしてるらしいからなんかちょっとお話したほうがいいかもね、と私から密告し。まあ、でもやっぱり6歳にもなると男女の性差みたいなものが生まれてくるわけで、興味を持つのは普通というか。でも問題はその興味について親に話せない、と何か罪悪感というか、秘密にしなければいけないと思わせてしまう親の対応だったりするのではという気もし。。。どう考えても、自分についてないものがついてるとか、ついてるものがついてないとか、興味を持たないわけがない。ただでさえ子供はお尻がすきなのに。でもその興味が変な方向に流れていかれると困るし、それを利用する悪い大人の存在もあるので、質問が来たついでにちょっと話したっていう、それだけで我が家ではそれ以降特に問題もなく過ごしてきたのだけど。。。。ただここにきて、非常にややこしい問題が。ここにきて学校で同じ流れで、やっぱり他の子供達からもどうやって人間が受粉するかという質問が出ていたらしく、先生がある日クラスで「ペネとバヒナをくっつける」「赤ちゃんはバヒナから出てくる」ということを子供に説明する授業をしたところその後の親の集まりで大炎上。先生を文字通り吊し上げ状態。大体25家族のうち、うちを含む5家族は、「まあそれしか答えないしな」「うちでは既に話していた」「そういう質問が自分の子からもあったので仕方ないと思った」っていう感じ。あと5家族は「先に親に一言言ってほしかった」「教材が適切でない」「カリキュラム通りじゃない」やりかたには問題あったかもしれないけど、特に子供は悪い影響を受けていないようだという家族。残りの15家族は「それは家族の問題で学校でいつ教えるか決めるべきものではない」「6歳の子になんてことを教えるんだ」とか、さらには全く関係のない「学校のトイレに壁がないのに、なんで性のことを教えるんだ」とか八つ当たりみたいなことにまで発展し。「余計な興味を持たせて、変な遊びをしたらどうするんだ」とか「今まで家でドラゴンとかお姫様の絵をかいていたのに、バヒナとペネの絵を描いた」とか、「先生がそもそも思慮に欠ける」とまあ、アダムとイブをそそのかしてリンゴを食べさせたヘビ扱いのバッシング。子供に見せた絵のおっぱいが良くないとか(でもそれは赤ちゃんに授乳しているお母さんのアニメーションで)、アニメの内容が男尊女卑だとか、なんだか話がとんでもない方向にも。。。その保護者の集まりでは、とりあえずおさまったのかと思いきや、その後のお誕生日会で親が集まった時にも大騒ぎ。最初は中立的な立場をとっていた人達も、これは反対しては分が悪いと思ったのか、軒並み吊し上げチームに入るようになり、なんだか火に油の一途。逆に私みたいに、別にそんなに心配ないのでは、と発言した人間にまで怒りの矛先が向かってきそうな勢い。。(空気全然読めてないんですけど、日本人!みたいな。)今まで、何か問題があっても全く口に出さないでシレっとした顔をしているチリ人ばかり見てきたので、この怒りがトグロをまいて拡大していく様を見るのは初めてで、これぞ絵に描いたような集団ヒステリーっていう状態。結局ついには校長にまで苦情の署名と集めるとか、校長に申し入れをするとか言い出し始める始末。。。確かに、先生がこんなに大問題になる可能性があるんだったら、一言先にいっとけばいいのに、というのはあるんだけど、そこについては先生側も落ち度を認めていたし、でも教えた内容についてはどう見ても真実だし、先生もそこまで大問題になるとは思っていなかった様子。子供もすっかり忘れて今じゃ授業のことなんかたぶん忘れてると思う。それでも親についた炎は鎮火するどころか、飛び火し始めている始末。それは性なのか、それとも自然科学なのかわたしには先生は自然科学の一環として教えていたわけで、いわゆる”性”としての認識はないのだからそんなに目くじら立てなくてもと思うし先生のいうように、もっと性に目覚めてからの方が教えにくいけれど今の時点ではただ生き物に対する興味のうちの一部分にすぎないと思うのだけど(しかも子供はもうすっかり忘れてるし)でも激怒してる親にとってはすでにそれは性なわけで。でも「もし子供が欲しいなんて思って、試したりしたらどうなるんだ!」とか真顔で言われるとそれはもう別の問題じゃないかと思ったりしてしまい。。だって、6歳の子供が自分の子供が欲しいなんて思うのはファンタジーの中だけじゃないかと思うのだけど、本当にそんなに妖精みたいな子供なの?っていう。。。むしろ危険なのは自然科学じゃなくて、ファンタジーのほうなんじゃないかと。うちの娘なんて今から「あたしは大人になっても子供は欲しくない。。。ママは子供のためにご飯作ったり、お洗濯したり、色々仕事しなくちゃいけないから大変だもん。。」とかためいきついてるような、全くファンタジーのない6歳なんだけど。。。どうも子供にはファンタジーを信じていてほしいという、親のエゴみたいなものがあり、そういえば、誕生日会に来たフローズンのエルサが、ちょっと白人白人ではなくて、モレナ(茶色っぽい人)だったのに気が付いた母親が「あれはエルサなのよ!!ちょっと日に焼けたの!!エルサなのおおお!!」と必死で娘に言い聞かせてるのを見て、それはさすがに無理だろう、、、、と思ったことを思い出したのでした。我が家の娘はと言えば、そういえば最近「ゴジラは本当にいる」とやたらファンタジーを押しつけたがる父親に呆れたようで、「ママ、なんでパパは私にゴジラはいるっていうの?恐竜は前いたけど、ゴジラはいないよね。あれは映画なんだよね。どうしているって言うんだろうか。不思議だ。だって嘘だよね?」というので、「やたら子供にファンタジーを信じさせたい親っているんだよね。。。はあ。。。」とためいきをついてしまったのでした。 [3回]PR