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28 July

麻薬中毒

ここ2週間ばかり娘の冬休みであったのと、パパ出張が重なったこともあって、また少し南の方に出かけていたところ、そこでまた久しぶりにこれは凄いな、と思ったことが。

今後お世話になるかもしれないチリの業界組合関連の人達のミーティングの場所に車で出かけた日。
建物のわきに停めて置けと指示された場所に車をとめ、中でミーティングをしている途中、何やら外でものすごい剣幕でクラクションがなり。

あー車移動したほうがいいのでは?と旦那が外に出ていくとすぐに、組合員の女性二人も出ていくので、はて、と思っていたら外からトンデモない剣幕で怒鳴り声が。

女性と男性のスペイン語の罵り合いというか、通常テレビでしか聞いたことのないような罵声が聞こえてきたので、これは一大事と私と他の男性2名も道に出てみると、そこにはパンダのようなつぎはぎだらけの奇妙な色の車に乗ったおっさんが、明らかにトンデモなく正気を失った勢いでこちら側を罵倒しており

今まさに車を降りて、おっさんが旦那に殴りかかろうとしたその時、私達がわらわらと出て行ったので、おっさんはパンダに乗って怒鳴りながら走り去っていった。

怒鳴り合いの内容はよくわからなかったけれども、どうやら我が家の車がぶつけられたようだったので、

その時は、おっさんが車をこすってしまったから、それのイイワケで逆切れして怒鳴っているのか、と思っていた。でも実は全然違っていた。



茫然としている旦那と、興奮冷めやらぬ女性陣の話によれば
おっさんが通りたかった道に旦那の車が止まっていたことに切れたおっさんが、
旦那が車を動かしに行って車に乗ったその瞬間に

曰く、
「3メートルは助走をつけて結構すごい勢いで」
パンダ車を真正面から追突してきたのだという。

とっさにやばいと思った旦那が、機転を利かせてブレーキを外したため、車は押された形になったのと、そもそも業務用で使われる頑丈な我が家のアメ車は、バンパーがちょっと割れたくらいの傷ですんだのだそうだ。

むしろパンダのようなつぎはぎのおっさんの車のほうがガチンコでは話になるわけもなく、結構がっつり凹んだらしい。

とはいえ、車を正面からぶつけられ、危うくわけも分からず殴られそうになった日本人とその取引先を危険にさらしてしまったチリ人は興奮さめやらず、その事件の2分後くらいにちょうど通りかかったカラビネロ(警察)に、その顛末を話した。


すると驚くことに、その警察官曰く、おっさんはその辺りでは皆が知る手におえない麻薬中毒者で、親も奥さんも兄弟も手におえずみな逃げ出してしまって、今はその事務所の裏に一人で住んでいるのだとのこと。

はああ???という感じなのだけど、警官曰く、チリでは麻薬中毒者でもアル中でも医者の診断書が必要で、それをもって入院させる、のだそうだ。

ようは、警官が連れて行っても牢屋が足りてないからすぐ出てきてしまうからなのか、とにかく警官もどうにかしたくても、医者の証明書がなければ何もできない。
親は匙を投げてしまって医者に連れて行かない。証明書がないから自分は何にもできない。

だから、何とかしてほしければ役所に嘆願書を君たち近隣住民で書いて訴えて排除してもらうしかない。

と、まあこんなことを言われた。。。


おっさんが捕まらないどころか、なんか結局野犬に噛まれたのと一緒、という感じの話っぷりだった。
ぶつけられた人は不運だと思うしかない、というのがチリのスタンダードなのだというのは、なんとなくわかっていたけど、やっぱりこんなことでもそうなのかと疲れる。
そもそもあんなのが普通に運転して外に出てること自体、子供が歩いてたらひかれたりしかねない。

何をあんなに焦ってたのか、きっと薬切れで早く薬を買いに行きたかったのに、旦那の車があったからムカついたんだろう、だからぶつけた、と、そんな感じだったのかと思う。

それにしても、本当に警察何のためにいるのか全く分からない。狂犬みたいなヤクチュウでも捕まえるわけでもないし。。どう考えてもあのままほっといたら危険なのに、ほっとかれたら危険だと嘆願書を書けって、、完全に日本とは警察の意味が違いすぎる。

泥棒は捕まえらんないわ、捕まってもすぐ出てくるわ、人殺しでも大した罪になっていないというし。。。その割に殺人が少ないことが凄いと思った方がいいのか???
そのくせ無抵抗の学生運動にホースで水まいたり催涙弾投げたりはするくせに!!(所属が違うらしいが)


なんだかもうトホホすぎてどっと疲れている大人たちとは裏腹に、初めて麻薬中毒者を見た(というかニアミスで実際には見ていない)娘は興奮して

「目は何色だった??今日のニュースに出るかなあ!!」

というから大人はみんな笑わされてしまった。

パパだけが

「パパが殴られてたら出たかもしれないけど、、」と言っていたけど、

たぶん殴られててもニュースには出ないぞと思うママであった。



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