26 May 死ぬ前に食べたいもの 自分の父親は60歳ちょっとで軽い咳が続くようになって病院に行ったところ肺癌と言われ、余命3か月と宣告を受けてから本当に3か月きっかりで亡くなってしまったのですがその時分、一番大変だったのが病院にいる父親の「あれが食べたい」をかなえることのむずかしさで例えば「新橋のあそこの寿司が旨かった」とか、言われても アイヨ!と買いに走れるほど近くに住んでいたわけでもなく、しかも新橋のあそこがどこやらも分からずボタンエビだか大正エビだかの地獄焼きみたいなの、と言われても、買って病院まで行くのに冷めてしまって全く美味しくない。しかも一口食べるのが精いっぱい。ということを繰り返しているうちに、結局何も食べられずに最後を迎えてしまった父親が「こんなことだったらあの時抗がん剤なんか飲まないでマグロ食べておけば良かった。先生の言うことを聞かずにもう一回ゴルフ行っておけば良かった」と言ったのは、後の私に影響を与えたある意味父の遺言みたいな一言でした。 そういったわけで、私は常日頃から死ぬ前に食べたい物というものをいつも決めておりしかもそれは割と簡単に家族が用意できるものでなければ喰いっぱぐれる、という危機感と隣り合わせでもあり日本にいる時分はそれが鯵の開きと納豆とご飯 で固定のメニューでした。それがどれくらい固定だったと言えば、こっちにやってきた当時、日本に一時帰国した旦那がお土産に鯵の干物の真空パックを買ってきたほどで、それはすぐに食べるようではなく、なにか私に一大時があった時に食べるように、と冷凍庫でお守り代わりに数年保存されていたほどでした。1年半ほどして、鯵の干物が再現できるようになった時にこれは、賞味期限をとうに過ぎてから食べられたのですがいやー、こんなの死ぬ間際に出てきたら怒りで死んでも死にきれんわ!というものでしたのでまあ、良かったです。あれが最後にならなくて。で納豆も作れるようになり、これでいつ何が起きても大丈夫と思ったのですが最近圧力鍋が壊れたこともありめっきり納豆を作らなくなり鯵の干物も日本の鯵ほど美味しくないので 固定の1位の座が揺るぎ始めました。もう一つには、ここにはここで美味しい魚や野菜が別に存在してその味に慣れてきたというのが大きいのかと思うのですがずいぶん我が家での人気食材が変わってきていまして例えば4年前には、全くと言っていいほど食べなかったフダンソウが、今や我が家の葉物野菜の代表選手的となり、魚の代表と言えばシマカツオ、貝と言えばホンビノス貝、肉と言えば牛肉、とずいぶん食べるものが変わってきました。あー私の味覚はずいぶん変わったかもしれない、気が付いたのは先日、これも来た当時は全然好きではなかった、ルクマのアイスクリームを遊びに行ったお宅でいただいた時になんと美味しいアイスクリームなんですか!と心から驚いてしまったことで、ルクマとマンハールのコンビネーションのそのアイスクリームは、もしかすると私の死ぬ前に一度は食べたい餡子のはいった饅頭の代替えになるやもしれない、と思ったほどでした。知らなかったのですが、ルクマはペルーでもお菓子によく使われているフルーツで、カボチャとカラメルがあわさったような何とも言えない風味なのですが、これにマンハールが加わると、なんとも言えない上品なアイスクリームになるということを発見し今後はルクマをさらに研究しなければ、と誓った日でした。ルクマは日本でも売ってるみたいですが、ずいぶん高いです。ーなんとあのマカロンで有名なピエール・エルメが2015年5月の新作マカロンに、ルクマを主役に選んで最近話題となりました。ビジュアルも美しいです!ー聖なる果実・ルクマ(LUCUMA)って知ってる?血糖値の上昇を抑える優れたスーパーフード!ルクマ、日本でもアイスになる日がくるかも。最中の中とか入ってたらおいしそう。。。あ、だからマカロンなのか! [5回]PR